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カトマンズの宝石屋

2009.03.21 ▲ネパール
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カトマンズの路上で仲良くなった、おかしな関西弁を知ってるムツさん。
会った初日にお茶やらメシやらご馳走してくれた良い人だ。
翌日会いに行くと、商売の話を持ちかけられた。
宝石の「運び屋」をやったら、利益の半分をくれるという。

やる事は簡単。
ネパールから宝石を日本へ運ぶ。手荷物でも郵送でも、良い。
僕自身は飛行機で日本へ飛び、彼らの日本支店の人間と会い、手渡すだけだと言う。

OK。
もちろん僕は、一も二も無く、即決で話に乗った。


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日本までの飛行機代を負担した上、報酬150万円を払うから、運んでくれ、という。
こんなにオイシイ話、なかなかあったもんじゃない。


カトマンズのタメル地区は、世界中から旅行者が集まる安宿街である。
昼夜を問わず「はっぱ? ジギジギ?(おんな)」と声を掛けてくるような、
お兄ちゃんたちが路上にあふれている。

アジアによくある旅人街といった雰囲気だが、
一つだけ違うのは、みんな人が良い。
ガイドの客引きはもちろん、麻薬の売人さえも、
ここでは少なからぬ人達が、まずお茶をおごってくれるのだ。
商売に接待は必要。皆それを必要以上に心得ている。

路上で知り合った、関西弁を喋るムツ氏(34歳)もその一人。
彼はパートナーとともに、タメルで宝石商をやっている。


ムツ氏が語った詳細はこうだ。
ネパールでは、安い人件費から、宝石のカッティング業が盛んで、
原石を輸入・加工した後、多くの国へ輸出している。
もちろん日本も大きな得意先の一つである。

ところが一方、ネパールには年間80,000ドルまでという輸出制限がある。
限度額に達すると、宝石商社は指をくわえて待っているよりほか、何もできない。
それではあんまりだ。
しかし、そこには一つ抜け道がある。
旅行者に協力をあおぐのだ。
ネパールでは、一旅行者の買い物上限額が、26,000ドルまでと決まっているが、
その範囲内で、宝石を「買ったと見せかけて」、国外へ持ち出すというのだ。

ネパールで加工された石を、日本の問屋に売ると10倍の値段になるという。
それゆえ、一旅行者が運べる額の宝石でも、莫大な利益を稼ぐことが出来る。
だから、利益の半分までもを旅行者にくれ、飛行機代も出せるのだという。
なんてオイシイ話でしょうこと。

さて、
具体的手順についての話は、ムツ氏ではなく、社長のナラ氏(40歳代半ば)とした。
話を進めていくと、お金が必要だという。
それは、税関を通すための書類作成に必要なもので、あくまで「見せ金」だ。
いったんお金を渡し、書類を作成したら、ナラ氏は僕に同額の小切手をくれるという。

OK。
彼らとともに、
700カラットのアクアマリンという宝石を鑑定、測量し、
“確かに6000ドルで購入した”という「見せかけ」の領収書にサインしてから、
小包として日本に送る手配をしてもらった。

そして僕は社長ナラ氏の言ったとおり、6000ドルのトラベラーズチェックを手渡した。
本格的な「見せ金」にするには、ドルをネパール・ルピーに両替する必要があるのだが、
その日は土曜日。ネパールの休日なので明日することに。

これで万事OK。
明日、6000ドルのトラベラーズチェックをネパール・ルピーに両替し、
税関用の書類を作成したら「見せ金」の役目は終わる。
代わりに僕は、同額の小切手と日本への飛行機チケットを受け取るのだ。
トラベラーズチェックは、明日まで彼らの店に預かってもらうこととした。

その夜、前祝とばかりにムツ氏とビールをしこたま飲み、
メシをおごってもらった。
そして“明日はもっと良いところへ連れて行ってあげるよ”と言われ、別れた。



さて、翌日。
ムツ氏との約束は11時だったが、1時間ほど早めに彼らの店へ行った。
目的は、彼らに預けたトラベラースチェックの奪還。

僕は、やんわりと社長のナラ氏に話を切り出した。
「お疲れみたいですね」
「そうなんだ。昨日は11時まで仕事だったんだよ」
「そりゃおそい。で、朝は早かったんですか?」
「6時。日課でジョギングしているんだ」
「なるほど、ビジネスマンに体力は必要ですからね」
「そうそう、分かってるね。そうだ、お茶を飲むかい?」
「ありがとう。ミルクティにして下さい」

ミルクティをすすりながら、僕は聞いてみた。
「お子さんは2歳だって言ってましたよね?」
「そう…ね。」
ナラ氏は、急に無口になり、そわそわし始めた。
そして、もう待ちきれないという素振りで、彼は切り出した。
「これから一緒に両替に行こう」。
この国では、パスポートが無いとトラベラーズチャックは両替できないし、
漢字のサインは未記入のまま。
もちろん全額そのまま手付かずである。
社長のナラ氏は、封筒に入ったトラベラーズチェックを保管箱から出してきた。

その封筒をゆっくりと受け取ってから、
あたかも、いま思い出したかのように、僕は言った。
「あ、そうだ。パスポートをホテルに忘れたから、取って来ますね」
「何分で戻る?5分くらい?」
「いや、30分以上かな」
そう言って、店を出た。



それ以来、彼らとは会っていない。
詐欺だと確信したからだ。

旅行者に「運び屋」としての協力を求める話は、よく出来たものだったが、
その後の具体的な手続きは、矛盾と穴だらけだった。

彼らが僕にしてくれた接待は、
ミルクティー5杯
ビール大瓶5本
チキン・マサラ1皿
マトン・マサラ1皿
チキン・ケバブ1皿
マトン・モモ1皿
計3000円以上
この国の物価水準からしたら、日本での5万円くらいの価値になるだろうか。

これじゃ、どっちが詐欺だかわからない。













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