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カトマンズのナイトライフ

2009.04.03 ▲ネパール
IMGP7136

しこたま飲んで酔っ払った彼は、しだいに毒づき始めた。
「オレは日本人をぶっ殺したいんだ。オレはマフィアだ。
 お前をぶっ殺してやる!」

僕は、恐れおののいた。
が、すぐに彼が虚言癖のある人間だと思い出した。


良い酒が飲める店では、良い友達が出来ると勝手に信じてるのだけど、
日本語が上手なネパール人の「彼」とも、行き付けの飲み屋で出会った。
彼は、日本に4年間住んでいたという。
日本人女性と結婚して、奥さんとの間に2人の子供を授かり、
日本で必死に働いた。
六本木ヒルズ、レオパレス、パナホーム、東京駅前の旧大丸跡地の再開発と、
たて続けに、大きな建設に携わり、歌舞伎町でホストもやったという。


彼が語った自身の履歴によると、
彼の親類には、国や地方の政治家が多く、
彼自身はマフィアで、日本のやくざとも友達だった。
さらに、日本から帰国する間際には、自衛隊のお偉いさんとも仲良くなった、という。

さかんにそんな威勢の良いことを口走った。
虚言なのか?権威を借りて偉ぶりたいだけなのか?

飲み屋で数時間、一緒に飲み、一緒に歌った。
店内の一角では、歌好きな夫婦がネパールの歌を唄っていた。
そのうちに日本の歌を唄えと言う。
彼は、一番好きだという『上を向いて歩こう』を覚えていた。
「上を向いて歩こう『涙がこぼれないように』」って所が良いんだ、と言った。
ばらばらな音程ながら、しっかりと歌詞を覚えていた。
僕は、音程は知っているけど、彼よりも歌詞を知らないのでメロディを担当した。
楽しいひと時だった。

しかし、酔っ払って「ぶっ殺してやる!」と毒づき始めた彼。

とりあえず、閉店時間を大幅に過ぎた飲み屋を後にし、
フラフラになった彼に肩を貸して、彼が泊まるホテルまで送ることにした。
途中、「疲れた」と言った彼と一緒に、シャッターの閉じた商店の前の階段に腰掛けた。

「オレは自分を殺して、日本で必死に働いた。
 でも、日本人はオレを殺した。
 オレは日本が大好きだった。オレは全てを日本にささげた。
 でも、日本人はみんな嘘ついた。そして、オレから全てを奪った。
 オレの子供を返せ!!
 日本人は皆ぶっ殺してやる!!お前からだ!オレとここでやるか?」

彼に奥さんとの馴れ初めや、なぜ別れてしまったかを聞いた時、
「忘れた」と言った彼の気持ちが、その時ようやくわかった。
深い深い悲しみと怨みしか、彼には残っていないのだ。

「君は僕を殺せない。それに、僕は君に僕のことは殺させないよ。
 なぜって、君はまた日本に行かなきゃいけないからだ。また子供に会いに行こう。」
そう言って、彼の肩を抱きしめてあげるしか無かった。

三月三日。今日は楽しいひな祭り。それなのに、男の肩を抱いてしまった。



あれから1ヶ月。今では仲良くやってます。













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